医療従事者が新型コロナウィルスに感染した時に使うべき制度(労働法活用講座)

医療従事者【働き方】

こんにちわ(‘ω’)ノゆとりPTです。

 

病院などの医療機関でクラスターが発生し、濃厚接触者として2週間自宅で隔離されたり、新型コロナウイルスの感染者として働けない状態に陥る医療従事者を多く見かけます。

 

もしそのような場合、「働けない期間」のお給料や休みの扱いはどうなるのでしょうか?

 

今回は、全ての医療従事者に向けて新型コロナウイルスに感染、もしくは、濃厚接触者として一定期間働けなくなった場合の救済措置について解説します。

 

新型コロナウイルスで働けない場合の対応策

 

 

医療従事者として、日々多くの患者さんと密接に関わる医療機関等で働いている人の感染リスクは一般人の数十倍です。

 

 

もし新型コロナウイルスに感染しPCR検査が陽性になった場合、症状の有無によりますが概ね10日間入院し、退院後さらに7日間状態観察を続けなければなりません。

 

濃厚接触者として認定された場合も概ね2週間の自宅療養となることが多いようです(各保健所で対応の違いがある)。

 

 

その間は勿論働くことは出来ません。

 

そこで、その期間のお給料を補償してくれる制度が以下の労働法と健康保険法です。

 

・傷病手当金(健康保険法)
・休業手当金(労働基準法)
・労働災害補償保険

 

医療従事者等(医療機関で勤務する全ての職員)は、新型コロナウイルスに感染もしくは、濃厚接触者に認定された場合、高い確率で上記を受けることができます。

 

 

厚生労働省からの通達

 

 

 

厚生労働省から「新型コロナウイルス感染症の労災補償における取扱いについて」(基補発0428第1号令和2年4月28日)(以下「4.28通達」)というものが発出されたました。

 

これは、具体的な感染経路が特定されなくても、「患者の診療」に従事する医師など医療従事者等が新型コロナウイルスに感染した場合には、原則として労災保険給付の対象になるとされました。

 

 

これによって、具体的な感染経路を特定できなくても、「患者の診療若しくは看護の業務又は介護の業務等に従事」している医療従事者等は、原則として労災保険給付の対象となることになります。

 

ここで重要なのは、この「患者の診療」における「患者」とは、新型コロナウイルスに感染した(又は感染の疑いのある)患者に限定されないことです。

 

同じく、「看護の業務」、「介護の業務」についても新型コロナウイルスに感染した者の「看護」や「介護」に限定されません。

 

労災認定事例

 

 

医師、看護師、介護従事者等の医療従事者等が新型コロナウイルスに感染した場合は、業務外で感染したことが明らかな場合を除き、原則として労災保険給付の対象となります。

 

事例では医師・看護師・理学療法士も判例がありました。

 

新型コロナウイルス感染症に係る労災認定事例

 

 

患者と近接して診療行為を行うため、当然に対象になるのです。「患者の介護の業務」に従事する看護師も同様の解釈になります。

 

 

こんな時はどうなるの?Q&A

 

コロナ3

 

 

 

Q1:感染し休業する場合は休業手当は支払われるのか

 

新型コロナウイルスに感染しており、都道府県知事が行う就業制限により労働者が休業する場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないため、休業手当は支払われません。

 

医療従事者の場合は上記の厚生労働省の通達により労災補償の対象になります。

 

 

 

 

Q2:発熱などがあり自主休業の場合は休業手当は支払われるのか

 

新型コロナウイルスかどうか分からない時点で、発熱などの症状があるため労働者が自主的に休まれる場合は、休業手当の支払いの対象とはなりません。

 

この場合、必ず勤務先からの指示で休むようにしましょう。

 

 

Q3:濃厚接触者として2週間の自宅待機の場合はどうなるのか

 

 

濃厚接触者として自宅療養を指示された場合は労災補償の対象とはなりません。

 

また、保健所の指示に従いPCR検査等を受け、結果がわかるまではお住いの地域によって自宅待機の期間に違いがあります。

 

この場合、勤務先からの指示により療養のために労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から、直近12カ月の平均の標準報酬日額の3分の2について、傷病手当金により補償されます。

 

労務に服することが出来なかった期間には、発熱などの症状があるため自宅療養を行った期間も含まれます。

また、やむを得ず医療機関を受診できず、医師の意見書がない場合においても、事業主の証明書により、保険者において労務不能と認められる場合があります。

 

また、市町村によっては、条例により、新型コロナウイルス感染症に感染するなどした被用者に傷病手当金を支給する場合があります。

 

★注意★
労災補償と傷病手当金を両方受け取ることはできないので、医療従事者の場合は
濃厚接触者として自宅療養➡傷病手当金
新型コロナウイルスに感染➡労災補償

 

と覚えておきましょう。

 

Q4:妊娠中ですが医療機関で働くために良い方法はないか

 

 

働く妊婦の方は、感染そのものだけでなく、これによる「不安やストレス」を妊婦の方が回避したいと思うのは当然のことです。

そこで、事業主が法律に基づき講じなければならない措置として、新型コロナウイルス感染症に関する措置を新たに追加しました(令和2年5月7日~令和3年1月31日)。

 

具体的には、こうした不安やストレスが、母体または胎児の健康に影響があると、主治医や助産師から指導を受ける場合があります。

 

働く妊婦の方は、その指導内容を事業主に申し出た場合、事業主は、この指導に基づいて必要な措置を講じなければなりません。

 

例えば、「感染のおそれが低い作業に転換させる」、「在宅勤務や休業など、出勤について制限する」といった措置が考えられます。

 

主治医等からの指導については、その指導事項を的確に伝えるため「母健連絡カード」というものを作っていますので、こちらを主治医等に書いてもらうことで、適切な措置を受けられることになります。

 

(※)男女雇用機会均等法第13条に基づく母性健康管理措置。

 

Q5:感染経路が判明しない場合でも労災補償は受けられるか

 

感染経路が判明しない場合であっても、感染リスクが高いと考えられる次のような業務に従事していた場合は、潜伏期間内の業務従事状況や一般生活状況を調査し、個別に業務との関連性(業務起因性)を判断します。

 

(例1)複数の感染者が確認された労働環境下での業務
(例2)顧客等との近接や接触の機会が多い労働環境下での業務

 

事業所内で新型コロナウイルス感染症が発生し事業所が休業した場合

 

この場合は、傷病手当金は支給されません。

 

しかし、休業手当を受給可能です。

 

法律等に基づかない使用者の独自の判断により、一律に労働者に休んでいただく措置をとる場合のように、

 

使用者の責に帰すべき事由による休業の場合には、労働基準法に基づき、使用者は、休業期間中の休業手当(平均賃金の 100 分の 60 以上)を支払わなければならないとされています

 

 

まとめ

 

医療機関等(施設も含む)で働く医療従事者が濃厚接触者または新型コロナウイルスに感染しても、多くの場合補償を受け取ることができます。

 

・新型コロナウイルスに感染した場合➡労災補償
・濃厚接触者として療養➡傷病手当金
・医療機関・事業所がコロナで休業➡休業手当

 

必ず、勤務先に相談するようにしましょう。

 

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