妊娠中の医療従事者を守る【コロナの労務管理・安全衛生の確保】を解説

医療従事者【働き方】

 

 

医療従事者の中には妊娠中の職員も多いはずです。

 

しかし、新型コロナウイルスの感染リスクが高い中で仕事を続けることは母子ともに危険に曝されています。

 

今回は、そのような妊娠中の医療従事者を守る労務管理・労働安全衛生の確保について解説します。

 

 

 

妊娠中の医療従事者を守る労務管理・労働安全衛生の確保

 

 

 

 

 

新型コロナウイルス感染症対策に勤務先の病院が対応しています。

自分は妊婦なのですが、新型コロナウイルスに感染のリスクがある中で、妊婦が働いてもよいか不安です。

 

 

 

 

このような不安を抱えている医療従事者やパートナーは多いはずです。

 

 

一般的には、妊婦は新型コロナウイルス感染患者のハイリスクであり、妊婦が肺炎を発症すると重症化する可能性があるとされています。

 

妊娠中の医療従事者について、できるだけ感染リスクの低い業務を担当できるよう職場内で調整がなされることが望ましいのですが、現時点でそのような体制が取れていない職場もあります。

 

では、妊婦を守る制度はどのようなものがあるのでしょうか?

 

 

 

妊娠中の女性を守る法律

 

 

 

 

 

 

 

法的には、妊娠中の女性労働者に対しては、ご本人の申請があれば深夜業、時間外労働を免除する(労働基準法)ほか、

 

母性健康管理措置(男女雇用機会均等法)として、医師などからの指導事項を守るための勤務時間の変更や勤務軽減などの措置(通勤緩和、休憩に関する措置、妊娠中の症状などに対応する措置)をとることとされています。

 

 

しかし、医療機関においては医療に従事する必要があることから在宅勤務が難しい状況にあります。

 

妊娠中の医療従事者が感染リスクを伴わない働き方の配慮が必要ですので、現在不安を感じる環境の場合にはまずは、勤務されている病院と、働き方について相談しましょう。

 

 

厚生労働省は、経済団体や労働団体(医療機関も含む)に対して、妊娠中の女性労働者に配慮した取組への協力を要請しています。

 

 

・妊娠中の女性労働者が休みやすい環境の整備
・感染リスクを減らす観点からのテレワークや時差通勤の積極的な活用の促進
・妊娠中の女性労働者も含めた従業員の集団感染の予防のための取組実施 

 

 

 

 

男女雇用機会均等法の告示改正【母性健康管理措置】

 

 

 

 

現在妊娠しています。感染患者に対応する可能性のない部署への異動を希望していますが、医療機関が受け入れてくれません。

 

 

このような看護師を始めとする医療従事者は多いはずです。

 

 

令和 2 年 5 月 7 日付男女雇用機会均等法の告示改正により、新型コロナウイルス感染症に感染するおそれに関する心理的なストレスが母体または胎児の健康保持に影響があるとして、

 

 

医師または助産師から指導があった場合には、事業主は妊娠中の女性労働者の作業の制限、出勤の制限等の必要な措置を講ずることが義務付けられました。

 

 

「作業の制限、出勤の制限」とは、

具体的には、感染のおそれが低い作業への転換又は出勤の制限(在宅勤務・休業 )を指します。

 

 

これにはある程度の強制力があり、事業所(医療機関も含まれる)が母健連絡カードによる指導に対応しない場合、

 

行政の監督機関である労働局雇用環境・均等部(室)が事情を調査のうえ是正指導を行い、対応が是正されない場合は事業所名の公表の制裁が科されることになります。

 

 

 

申請方法

 

 

 

 

 

「 母健連絡カード 」は、母子手帳にもフォーマットがあります。また、下記の HP からもダウンロードできます。

 

通勤や担当している業務内容について具体的に不安に思っておられる点を主治医と相談し、

 

主治医に具体的な業務上の注意事項を「母健連絡カード」に記入してもらったうえで、お勤め先に提出し、業務の調整をご相談しましょう。

 

 

 

 

 

 

母性健康管理措置による休暇取得支援助成金

 

 

 

 

 

 

主治医の指導で産休入りまでの間、休業できることになりました。

そのためには有給休暇を使い切り、不足する日数は欠勤になるとのことです。いつから休業するか迷っています。

 

 

 

 

働く妊婦が新型コロナウイルス感染症への不安によるストレスを理由に、主治医等の指導を受けて職場に対応を求め、その結果休業する場合、休業中の賃金の支給については労使で話し合って決めることとされています。

 

 

しかし、職場に利用できる休暇制度がなければ、欠勤となり収入が途絶え休業を躊躇われる方も多いはずです。

 

 

 

そこで休業が必要とされた妊娠中の女性労働者のために、有給の休暇制度を設けて取得させる事業主を支援する新たな助成金(新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による休暇取得支援助成金)が創設されました。

 

 

新型コロナウイルス感染症への不安によるストレスを理由に休業を希望する妊婦を、年次有給休暇とは別に有給の特別休暇によって、一人につき計 5 日以上休業させた事業所には、休業者 1 人あたり 25~100 万円の助成金が支給されます。

 

 

人事労務部門にこのような新制度があることを確認し、特別休暇を設けることを検討してもらいましょう。

 

 

 

 

 

 

まとめ

 

 

 

感染リスクが高い医療機関で勤務するスタッフであっても、職員に対する労働安全衛生の確保の観点から、妊娠中の労働者や基礎疾患持ちの職員には労務管理上の配慮が必要です

 

もしそれらを怠った場合、勤務先である医療機関や事業所側の過失が問われてしまいます。

 

妊娠中の医療従事者やそのパートナーも必要に応じて制度を活用していきましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コメント

error: 不具合が生じました。
タイトルとURLをコピーしました