2022年4月を過ぎ、待ちに待った『年1回の昇給』があった方も多いのではないでしょうか?
今回は、医療従事者が騙されやすい『昇給の罠』について解説します。
この記事では、以下を解説しています。
勤続年数が長くても給与が増えない!?『昇給の罠』を解説
昇給制度はあるはずなのに、毎年給与が増えている気がしない、、、そんな人たちはもしかすると『昇給の罠』に掛かっている可能性があります。
勤続年数が長くても給与が思ったように増えていかない昇給パターンを紹介します。
①人事評価と昇給額が連動していないパターン
本来であれば、人事評価によって給与や昇給額の決定・待遇などと合わせて連動させるものです。
しかし、実際は人事評価と昇給制度が連動しておらず独立している場合があります。
その場合、昇給は経験年数によって一律に決定しており、
また人事評価の結果は、別途インセンティブ(手当)として上半期・下半期に1回ずつ支給される場合があります。
個人の業績に関わらず年齢や勤続年数をもとに昇給を行うことから、年功序列型賃金と呼ばれることもあります。
②昇給額を手当として毎月支給するパターン
昇給額は一般的には基本給に加算されていきます。勤続年数が長くなるほど基本給が高くなるのが基本です。
そして基本給が上がることによる最大のメリットは賞与(ボーナス)が増えることです。
賞与は基本給をベースに計算するため、年2回の賞与月の収入UPにも繋がります。
そのため、昇給=基本給UPとすると雇用主側からすると更に雇用コストが掛かることになります。
そこで、昇給額を基本給としてではなく『職能手当』や『調整手当』を増額したり『勤続手当』にしてしまおう!という姑息な手を使う勤務先もあります。
この場合は、いくら勤続年数が長くても賞与に反映されず思うように年収が上がらない場合があります。
また基本給が低いことで生ずる問題があります。
基本給が低いと損をすること
①時間外労働手当(残業代)が減る
時間外労働手当を計算するには、基本給を用いて時給換算した基礎時給が必要です。
例えば、
一方で、
基本給が2万円の差で残業代が157円の差が生まれます。
1時間では大きな差はありませんが、1ヵ月、1年の単位で考えれば、少ない金額ではありません。
②退職金が減る可能性がある
勤務先によって支給の有無や支給金額や退職金制度設計は異なります。
退職金の計算方法として、基本給と連動させ計算する方式を採用している場合があります。
退職時の基本給や勤続中の平均基本給に、勤続年数別の支給率を掛けて計算する方法です。
つまり、額面給与が高くても基本給の額が低ければ、退職金の額が低くなってしまうということです。
基本給が低い勤務先に勤めている場合は、退職金規程や制度を一度確認しておきましょう。
③手当は業績によりカットされることがある
基本給は「不利益変更禁止の原則」といって、労働契約法で簡単に減らすことができなくなっています。
しかし、手当は必ずもらえるとは限りません。個人の働き方が変わり、住居手当や資格手当などが勤務先の方針で減額や廃止される可能性もあります。
また、2020年のような新型コロナウイルス感染症の影響により業績悪化を理由に手当が廃止されることも考えられます。
まとめ
雇用主側は従業員のコスト削減のため基本給を低く抑えたいものです。
昇給は制度としてあったとしてもその仕組みや決定方法なども考慮して就職や転職を行ないましょう。
行なう際は、必ず求人情報にある総支給額だけでなく給与内訳や賞与の前年度実績なども見るようにしましょう。
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