2021年12月に第3回公的価格評価検討委員会が開催され、
日本理学療法士協会とリハビリテーション専門職団体協議会からの要望書を「公的価格に関する意見書」として資料に取り上げ、
リハビリテーション専門職団体協議会は、公的価格評価検討委員会に対して以下を要望しました。
今回は、将来が不安な療法士やリハビリ専門職を目指そうと考えている学生に対して、
知っておいた方がよい情報が記載されている要望書を紐解き、解説していきます。
日本理学療法士協会が出した『公的価格に関する意見書』を解説
①医療介護間の処遇格差について
意見書より
まず、リハビリ専門職(理学療法士等)の所定内給与額は15年以上変化がないというのは事実です。
財政制度分化会の資料では、1995年の給与水準を100%として医師126.6%、薬剤師117.2%、看護師は111.7%とそれぞれ上昇している一方で、
作業療法士は100.2%と20年前と比較し変化なく、理学療法士に関しては97.6%と給与が低下していることが判明しました。
◆特に医師・⻭科医師・薬剤師などの給与⽔準の伸びが⼤きい。
★理学療法士・作業療法士はいずれも変化なしorやや減少
※引用元:財務省 財務制度分科会 資料(H29/10/25)『社会保障について②各論』
医療保険下で働くものと介護保険下で働くものとで大きな処遇格差が生じていることも事実です。
「理学療法士・作業療法士に関する検討会 第2回」の中で日本理学療法士協会が提出した資料によると、
理学療法士の介護分野における平均給与は419万、医療分野は474万であり年間55万円の差があることが判明しました。
資料引用元:理学療法士・作業療法士の需給に関する基礎資料
日本理学療法士協会による調査によると、養成校を卒業した理学療法士の99%以上が就職することが出来ており、雇用も安定している傾向にあります。
しかし、医療分野で就業する人は全体の80%、一方で介護現場で働く理学療法士はわずか10%と言われています。
②基金の活用例の充実について
意見書より
地域医療介護総合確保基金とは?
地域医療介護総合確保基金の使われ方
厚生労働省:地域医療介護総合確保基金HP
③国家公務員医療職俸給表(二)の見直しについて
俸給表とは?
つまり等級が上がることは役職などにつくことになり「昇格」になります。
その他の医療職の俸給表は以下です。
問題は、国家公務員医療職俸給表(二)には等級は5級までしか理学療法士・作業療法士の名前が明記されていないことです。
現行の国家公務員医療職俸給表(二)は以下です。
5級:医療機関の困難な業務を行う栄養管理室長,診療放射線技師長,臨床検査技師長,理学療法士長又は作業療法士長の職務
6級:相当の規模を有する薬局の長の職務・医療機関の特に困難な業務を行う栄養管理室長,診療放射線技師長又は臨床検査技師長の職務
7級 :規模の大きい薬局の長の職務
8級 :特に規模の大きい薬局の長の職務
つまり、PT・OTには5級以上の役職は準備されておらず、医療専門職の中でも粗雑に扱われていたのです。
理学療法士に関して5級までの記載しかない国家公務員医療職俸給表(二)を見直し、以下を要望しました。
・7級「規模の大きいリハビリテーション部門の長の職務」
・8級「特に規模が大きいリハビリテーション部門の長の職務」
まとめ
知らないところで、様々な会議が開かれ医療専門職種についての話し合いが行われています。
それらを紐解くことで、その専門職種の現在置かれている状況や将来性、今後の展望などを予測することが出来ます。
常にアンテナを張っていることが重要となってきます。
今後、公的価格評価検討委員会において課題の検討が行われ、来年(2023年)の夏頃までに方向性の整理がされる予定です。
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