全国の医療機関等に勤務する理学療法士・作業療法士を対象とした大規模調査を実施し、理学療法士・作業療法士の現在の勤務状況と働き方の意向等を分析され、
「理学療法士・作業療法士の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査」報告書が平成 30 年 3 月に発表されました。
この全国調査では、理学療法士・作業療法士の働き方・勤務状況等の現状のほか、今後の働き方の意向等を明らかにされました。
アンケート対象の該当者数は日本理学療法士協会会員 32842 名と日本作業療法士協会会員 13639 名の計 46481 名です。
そのうち回答があったのは、理学療法士協会会員 6501 件、作業療法士協会会員 3088 件の計9589 件でした。
全国の医療機関で勤務するPT・OTはどのような勤務実態で働いているのか、自分の将来を考えるために参考にしましょう。
全国の理学療法士・作業療法士の勤務実態【年収編】
対象者の年齢層は?
本調査対象は 40 歳未満が全体の 77.8%で、理学療法士の全国平均 81.8%(40 歳以下)、作業療法士の 81.0%(40 歳以下)とほぼ同等となりました。
やはり40歳以下の療法士が大部分を占める分布となっています。
現在の年収(給与)は?
調査結果では、概ね20代前半は300万円未満と300~400万円未満が多くなります。
20代後半は300~400万円未満が主となり、その後、30代前半は300~400 万円未満と400~500万円未満が同程度となり、30 代後半には 400~500 万円未満が最多であった。40代前半以降は年収のばらつきが大きくなっていく傾向にあります。
上記の結果をグラフで表すと、
現在の年収(給与)は 5 年前と比べてどの程度変化したか?
年収は年齢と共に上昇する傾向を示していたが、一方で5 年前と比して変わらないと答えた者が約 1/4 を占めていました。
また、年収が低下したと回答した者も7.8%おり、年収が変わらない、または低下すると回答した者があわせて30.8%にのぼりました。
理学療法と作業療法は共に若年層が圧倒的に多い構成となっているため、
今後40~50 歳代のボリュームが増えた際に、将来年収がどこまで保障されるか?といった構造的な問題も抱えていることが浮き彫りになりました。
現在の年収(給与)に対するあなたの満足度は?
年収に対する満足度は全体的にみると満足(とても満足+概ね満足)が約 20%で、不満足(とても不
満+やや不満)が約 50%でした。
年収別に検討すると、満足の割合が過半数を超えるのは年収700万円で、年収 300万円台以下は不満が過半数を超えました。
つまり、年収700万円程度までは給与に対する満足度は不足し続ける傾向があり、将来への備え・不安などを抱える可能性があります。
転職した経験は?
転職経験は 0回が63.3%、1回が23.1%と大半を占めていたが、今回の実態調査の対象者が若年層に
偏っていたのもあり、86.7%を占めています。
しかし、30代~40代も含めたアンケート調査でも転職回数が0回が60%以上を占めている現状には驚きです。
まとめ
今回の全国の医療機関に勤務する理学療法士・作業療法士の勤務実態(年収)からわかることは、
現在は、理学療法と作業療法は共に若年層が圧倒的に多い構成となっているため、
今後40~50 歳代のボリュームが増えた際に、将来年収がどこまで保障されるか?といった構造的問題に直面します。
今のうちに自分の活躍できる分野へ転職を検討したり、管理職などの席を獲得しておくことで将来へのリスクヘッジが可能となります。
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