コンプライアンスが乏しい勤務先は未だに年次有給休暇の取得の際に、様々な嫌な思いをすることがあります。
令和元年(平成31年)4月からは、すべての使用者に対して年5日の年次有給休暇を確実に取得させることが義務付けられましたが
患者を第一に考えている医療機関では、『休む』という行為自体が容認されにくいのが現状です。
有給休暇の取得状況は転職先を探す際にも重要になります。
今回は、違法性のある医療機関で見かける有給休暇の取得トラブルを解説します。
これって違法⁉医療機関で見かける有給休暇の取得トラブル
ケース①有給取得に理由を聞かれる
有給取得をお願いしに行くと、嫌な顔をしながら有給休暇の取得理由を聞いてくる上司がいます。
また医療機関では、有給申請用紙に申請理由を添えて提出しなければならない勤務先が未だにあります。
これはコンプライアンス違反です。
答えないことが難しい場合は、「私用のため」でいいのです。
ケース②退職時に残りの有給休暇を取得させない
退職を伝え、残りの有給を消化する相談をすると人手不足を理由に断る上司が存在します。
有給休暇を取得させてもらえず,20日以上も有給休暇を捨ててしまう医療従事者もいます。
しかしこれは完全に違法でありコンプライアンス違反です。
また、時季変更権を行使して有給休暇の取得日を退職日以降に指定することはできません。
つまり、退職日は決まっているのならば、労働者の申請により退職日までに有給休暇の取得させなければいけません。
ケース③勝手に有給休暇を取得させられる
上司が頼んでもいないのに有給休暇を勤務表などに組み入れてしまうケースです。
勝手に予定もないのに有給休暇を使用させられ、いざ取得したいときに有給休暇の残日数がなかったなんてことになりかねません。
有給休暇は、労働者が自由に取得できるものであり勤務先が勝手に消化するのは違法となります
しかし、
つまり、その年に有給休暇を5日使用していない人は勤務先から勝手に時期を指定されてしまいます。
自分の意志で5日以上の有給休暇を取得している場合には、使用者にこの義務は発生しません。
ケース④お盆休みや年末年始休暇が年次有給休暇に変えられる
これは非常に悪質なケースです。
本来であれば公休日にあたる長期連休などを働き方改革で有給休暇の取得を強制させられたため、人手不足を補うために行なっている勤務先があります。
通常、就業規則で決まっている夏季休暇や年末年始休暇などを有給休暇に変更することは違法です。
合意がない状態では労働条件の不利益変更に当たり労働契約法第9条違反となります。
有給休暇の取得でトラブルにあった時の対処法
①まずは証拠を集める
トラブルがあった時には、『言った』『聞いてない』などの水掛け論になります。
そのため、有給休暇の取得条件を満たしている証拠として以下が有効です。
②総務部や人事課に相談する
医療従事者の直属の上司は、労務管理の専門家ではありません。
そのため、『こう言えば丸め込める』と思って違法であるにも関わらず有給休暇の取得に関してコンプライアンス違反を犯します。
そこで院内のコンプライアンス部門や労務管理部門に相談することがひとつの方法です。
正確な労働基準法の知識を有する法務管理等の担当部署があれば
有給休暇の取得について正しい法的知識を有し、職場の上司に適切な指示をしてくれる可能性があります。
③労働基準監督署に相談する
最終手段は実際に労働基準監督署に相談します。
相談方法は、直接窓口へ出向くほか、電話での相談も可能です。
今まで集めた証拠を持ち寄り、具体的な相談を行なうことが出来ます。
まとめ
有給休暇の取得は労働者の権利の1つです。
勤務先からの不当な扱いに負けないように正しい知識を持ちましょう。
また、必要があれば就労規則や社内規定が守られている医療機関へ転職も考えてもいいでしょう。
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