不払い賃金・残業が一人当たり平均11万円戻ってくる!【賃金不払残業の是正結果】

医療従事者【働き方】

 

 

 

医療従事者は、慢性的なサービス残業や情報収集を行う前残業などが常習化しています。

 

それらは基本的に時間外労働時間となり割増賃金を支払わなければなりません。

 

しかし、現状の医療機関等の労働実態では賃金や残業代の不払いが起きています。

 

そんな中、厚生労働省から令和2年度の監督指導による賃金不払残業の是正結果が発表されました。

 

今回は、労働基準監督署が行なった違法な労働に対する是正結果を解説します。

 

 

 

労働基準監督署が行なった違法な労働に対する是正結果を解説

 

 

 

 

記事の要約

 

 

【令和2年度の監督指導による賃金不払残業の是正結果のポイント】

 

(1) 是正企業数 1,062企業(前年度比549企業の減)
うち、1,000万円以上の割増賃金を支払ったのは、112企業(前年度比49企業の減)
(2) 対象労働者数 6万5,395人(同1万3,322人の減)
(3) 支払われた割増賃金合計額 69億8,614万円(同28億5,454万円の減)
(4) 支払われた割増賃金の平均額は、1企業当たり658万円、労働者1人当たり11万円
厚生労働省は未払い賃金・残業代を払わせた結果を発表しています。

 

 

 

賃金不払残業の是正結果の解説

 

 

厚生労働省は、労働基準監督署が監督指導を行った結果、令和2年度(令和2年4月から令和3年3月まで)に、不払だった割増賃金が支払われたもののうち、支払額が1企業で合計100万円以上となった事案を取りまとめ発表しました。

 

 

 

2020年4月から2021年3月までに労働者側からの申告によって1062社の企業がそれぞれ100万円以上の残業代を過去の分まで遡り支払うことになっています。

 

 

残業代が戻ってきた労働者の数はなんと6万5395人

 

支払われた残業代の平均額は1企業当たり658万円労働者1人当たり11万円となる計算でした。

 

 

 

 

金額合計は69億8614万円

 

 

 

 

 

医療・保険業界は残業が多い業種

 

 

 

 

医療・介護業界は常習的にサービス残業をスタッフに強いる傾向があります。

 

業種別労働者数・業種別是正支払額を見てもトップ3位以内に保健衛生業がランクインしており、

 

奉仕の精神や、やりがい搾取につけ込み医療従事者を違法に働かせている場面が多くなっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

労働者側からどのような通報・申告があったのか?

 

 

 

 

『出勤を記録せずに働いている者がいる。』

 

 

労働基準監督署の是正後

 

 

・労働者の正確な労働時間について把握すべく実態調査を行い、不払となっていた割増賃金を支払った。
・賃金不払残業の解消のために取組を実施した。

 

 

労基署が実施した解消策

 

 

・「出勤を記録をせずに働いている者がいる。」との情報を基に、労基署が立入調査を実施。

・ICカードを用いた勤怠システムで退社の記録を行った後も労働を行っている者が監視カメラに記録されていた映像から確認され、賃金不払残業の疑いが認められたため、実態調査を行うよう指導した。

 

 

 

 

「時間外労働が自発的学習とされ割増賃金が支払われない」

 

 

 

 

労働基準監督署の是正後

 

 

・勤怠記録との乖離の理由が自発的な学習であったのか否かについて労働者からのヒアリングを基に実態調査を行った。

・この結果、自発的な学習とは認められない時間について不払となっていた割増賃金を支払った。

 

 

 

 

 

労基署が実施した解消策

 

 

・「時間外労働が自発的学習とされ割増賃金が支払われない」との情報を基に、労基署が立入調査を実施。

・ICカードを用いた勤怠システムにより労働時間管理を行っていたが、ICカードで記録されていた時間と労働時間として認定している時間との間の乖離が大きい者や乖離の理由が「自発的な学習」とされている者が散見され、賃金不払残業の疑いが認められたため、実態調査を行うよう指導。

 

 

 

 

「自己申告制が適正に運用されていない」

 

 

 

労働基準監督署の是正後

 

 

 

申告が行われていた記録を基に時間外労働時間数の集計を行い、不払となっていた割増賃金を支払った。

 

 

 

労基署が実施した解消策

 

 

 

・「自己申告制が適正に運用されていないため賃金不払残業が発生している」との情報を基に、労基署が立入調査を実施。

・非生産部門の労働者について、申告された時間外労働時間数の集計や、割増賃金の支払が一切行われておらず、賃金不払残業の疑いが認められたため、実態調査を行うよう指導。

 

 

 

 

未払い賃金は過去3年間遡って請求できる

 

 

 

 

 

労働基準監督署に申告・相談することで多くの未払い賃金が支払われる可能性があることがわかりました。

 

労働基準法は第115条で賃金請求権の時効期間を2年と定めていますが、この法律が改正されて時効期間が3年となり、2020年4月1日から施行されています。

 

 

そのため、2020年4月1日以降に支払われる賃金については3年の時効期間が適用されます。

 

 

残業した証拠などがない場合でも、

 

事業者が保存すべき労働者名簿、出勤簿などの記録の保存期間についても当分の間その保存期間は3年(現行のまま)となっているので勤務先が保管する義務が生じています。

 

 

 

 

 

 

まとめ

 

 

 

医療従事者の多くが、前残業やサービス残業を経験しているはずです。

 

しかし、それは当たり前でも風習でもなく違法な労働環境の一部です。

 

現状は過去3年間遡り未払い賃金が請求できますので、労働基準監督署に相談することをお勧めします。

 

 

 

 

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