中医協から見える「これからの訪問看護の生き残り方」を解説

医療従事者【働き方】

 

こんにちわ(‘ω’)ノゆとりPTです。

 

2021年8月26日に中央社会保険医療協議会総会が開かれ、日本の健康保険制度や診療報酬改定についての個別テーマの議論を行ないました。

 

今回のテーマは『訪問看護ステーション』についてです。

 

その中で、中医協(厚生労働省)がどの方向性に舵を切っていきたいのかがわかれば、

 

自分が訪問看護ステーションに転職ときに、より潰れにくく、給与が高い事業所に勤めることができ、

 

診療報酬改定等で右往左往することがないのです。

 

 

 

今回は、中医協から見える「これからの訪問看護の生き残り方」を解説します。

 

 

 

 

中医協から見える「これからの訪問看護の生き残り方」を解説

 

 

 

 

 

 

まずは結論から

 

 

これからを生き残る訪問看護ステーションの条件は以下です。

 

 

・医療保険の利用者割合が介護保険よりも多いこと(重要)
特に精神・神経疾患・悪性腫瘍・小児を取り扱っていること
・サービス提供を行う職員の6割以上が看護職であること
・機能強化型1or2を届出を行なっていること
専門の研修を受けた看護師がいること

 

 

 

 

訪問看護STで働く療法士が直面する問題点

 

 

まずは、今後療法士が直面する問題点を解説します。

 

 

問題点➀看護師の人員基準の見直し

 

 

 

 

 

 

2021年4月の介護報酬改定に向けて「訪問看護」を対象とする運営基準の見直しを提案されています。

 

理学療法士などのリハビリテーション専門職の訪問割合が多くなっている現状に対し、「サービス提供を行う職員の6割以上が看護職であること」を介護給付を受ける条件とする考えを示しました。

 

 

 

 

 

 

問題点➁介護保険(訪問看護Ⅰ5)の診療報酬減算

 

 

 

理学療法士等が介護保険で訪問看護を行なう訪問看護Ⅰ5(介護・予防)が介護報酬改定ごとに減算されています。

 

 

2015年6月時点の利用者数は、介護保険で利用している人の割合は全体の69.3%です。

 

つまり約7割の人が、介護保険で訪問看護を利用していました。

 

多くの利用者が介護保険でリハビリを必要としていましたが、減算による収益減は問題です。

 

 

 

これからの訪問看護の生き残り方

 

 

 

ポイント➀介護保険モデルから医療保険モデルへ

 

 

 

これまで、3年毎の介護報酬改定にて毎度のことのように理学療法士等によるリハビリテーションの提供について条件や単位数の見直しが行なわれてきました。

 

要支援者ついては12カ月以上継続訪問している方は5単位減算になり長期的なリハビリは行えない方向性が示されました。

 

 

これらのことから、介護保険領域でのリハビリでは基本報酬の引き下げや提供条件を引締められるため利益向上が見込めません。

 

 

そのため、多くの訪問看護ステーションでは介護保険の利用者でなく医療保険での介入が可能な利用者を集めようと領域シフトが起こっています。

 

 

 

 

 

中医協が提示したデータでは、

 

訪問看護ステーションの利用にかかる費用は、医療費及び介護給付費ともに増加しており、医療費の伸び率が大きくなっています

 

 

 

 

 

 

 

訪問看護に係る医療費・介護給付費の推移では、

 

医療保険における訪問看護ステーションの利用者に対する要介護被保険者等の割合は横ばい。

 

そのうち、特別訪問看護指示書の交付を受けている利用者(医療保険での介入)の割合は増加傾向

 

 

 

 

 

ポイント➁精神疾患・神経難病・癌リハ

 

 

 

訪問看護ステーションからのリハビリでは、介護保険➡医療保険利用者へのシフトが起きています。

 

 

では、どのような疾患の利用者が医療保険で算定され増えていくのかというと、

 

 

主傷病は、「精神および行動の障害」が最も多く、「神経系の疾患」「悪性新生物」を含めると、75%以上を占めています。

 

 

 

 

 

 

 

 

「神経系の疾患」に含まれる神経難病(パーキンソン病やALS、脊髄小脳変性症etc.)は診断があれば医療保険での対応が可能になります。

 

 

「悪性新生物」については、訪問看護指示書に「末期がん」の文言が付くことで医療保険での対応が可能です。

 

 

 

 

 

「精神および行動の障害」は精神訪問看護療養費となり作業療法士のみ対応でき医療保険です。

 

 

このように、増加傾向のある主疾患はいずれも医療保険で算定されやすい疾患であると言えます。

 

 

ポイント➂小児リハビリも増加傾向

 

 

 

 

 

 

 

訪問看護利用者における別表7の該当者は70~80歳代、別表8の該当者は小児と高齢者において割合が高くなっています。

 

別表7・8とは、特定疾患や厚生労働省が定める状態等にある利用者を指し、いずれも医療保険で算定可能になります。

 

 

 

 

 

 

更に、40歳未満の方は医療保険で算定されるので、近年では訪問看護を受ける小児(15歳未満)の利用者数は増加しており、近年増加傾向が著しいのです。

 

 

 

ポイント➃看護師の常勤数・次に質

 

 

 

 

 

 

訪問看護ステーションで医療保険の利用者を受け入れようとすると、より手厚い訪問看護の提供体制が必要になります。

 

 

これからは看護職員の常勤数(人員基準)が多い方が、診療報酬が高い加算を取得し、
手厚い訪問看護体制が可能な事業所に医療保険の利用者は集まりやすくなります。

 

 

 

しかし、未だに多くの訪問看護ステーションでは看護師の常勤換算5人未満が約57%もあり小規模なリスクの高い利用者を受け入れる体制が出来ていないステーションが多いのが現状です。

 

 

 

 

 

 

 

 

また、機能強化型訪問看護ステーションの人員基準の見直し案では、ターミナルケアの実施や、重症児の受入れ等を積極的に行う手厚い体制が評価されます

 

つまり医療保険の利用者の受け入れが多いという事です。

 

 

これからの生き残る訪問看護ステーションでは、サービス提供を行う職員の6割以上が看護職であること+機能強化型1or2を届け出ていることが重要です。

 

 

 

 

 

 

今後の訪問看護ステーションでは専門性の高い看護師(認定看護師・専門看護師)の活躍が必須です。

 

現在では、緩和ケア、褥瘡ケア又は人工肛門ケア及び人工膀胱ケアに係る専門の研修を受けた看護師が、算定できる加算があります。

 

 

今後は上記のような専門性の高い看護師が集まる事業所に重症度の高い(悪性腫瘍や真皮を越える褥瘡・人工肛門若しくは人工膀胱周囲の皮膚にびらん等の皮膚障害)利用者が多く集まると考えられます。

 

 

まとめ

 

 

これからを生き残る訪問看護ステーションの条件は以下です。

 

・医療保険の利用者割合が介護保険よりも多いこと(重要)
特に精神・神経疾患・悪性腫瘍・小児を取り扱っていること
・サービス提供を行う職員の6割以上が看護職であること
・機能強化型1or2を届出を行なっていること
専門の研修を受けた看護師がいること

 

 

訪問看護ステーションへの転職を考えているならば、上記を転職エージェントに聴取してもらいましょう。

 

 

 

 

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