昨今のAIの普及は目覚しく、野村総合研究所と英オックスフォード大学のマイケル A. オズボーン准教授およびカール・ベネディクト・フレイ博士との共同研究では、
10~20 年後に、日本の労働人口の約 49%が就いている職業において、それらに代替することが可能との推計結果が出ています。
理学療法士を始めとする医療従事者もAIの普及により自動化され仕事を奪われてしまうのでしょうか?
今回は、将来的に理学療法士はAIに仕事を奪われてしまうのか?を解説します。
将来的に理学療法士はAIに仕事を奪われてしまうのか?
リハビリ専門職は人工知能やロボット等による代替可能性が低い
引用:野村総合研究所より
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は人工知能やロボット等による代替可能性が低い 100 種の職業にランクインしています。
自動化の可能性が低い仕事は、高い専門性が必要であったり創造的作業を伴っていたり、複雑な社会的交流が必要とされる作業を必要とするものとなっています。
セラピスト、幼稚園の教諭、ならびに大学講師という仕事は、いずれも自動化可能性が最も低い職種に分類されています。
タスクの種類が豊富な仕事ほど奪われにくい
労働問題において『仕事』とは、以下の3つから構成されます。
例えば、理学療法士はジョブに該当します。
ジョブが持っているワークを考えると『リハビリを行なう』『計画書やサマリーを作成する』が考えられ、更にこのワークをタスクに分解することが出来ます。
理学療法士の場合、病室に訪室しバイタルを測定しリハビリ室へ向かうなど、このようにワークの中でもタスクに分解することができます。
AIはこのそれぞれのタスクを繰り返し自動処理するを最も得意としていますが、複数のタスクを横断したり優先度を変更したり内容を変更するワークの部分は非常に苦手としています。
つまり、一つ一つのタスクはAIによって自動化できたとしてもこれらをワークさせるには専門職種は必要になります。
自動化されないからと言って安心とは言えない
AIの進歩により、自動化され置き換えられる単調な作業は一般に中間所得層の労働者によって行われているため、理学療法士などのスキルを持った労働者に対する需要が拡大する傾向があります。
一方で、中間所得層の労働者は自動化が不可能な低所得のサービス業務へと鞍替えをしており、先進経済諸国における労働市場は、急速な両極化が進んでいます。
その結果として生じるのが、あらゆるスキル・レベルや所得水準全体にわたる雇用分布の「空洞化」です。
平均的なスキルが必要とされる雇用が減少し、それほどスキルを必要としない職種と高度なスキルが求められる職種の雇用の2極化が進んでしまうのです。
理学療法士・作業療法士の需要と供給バランスは更に悪化する
AIの普及が理学療法士・作業療法士の需要と供給関係を更に悪化させる可能性は十分に考えられます。
完全に自動化しAIに置き換わらない場合でも業務の一部をAIに移管することは可能です。
全ての仕事が奪われることはありませんが、一部自動化はリスク管理の観点からもあり得ない話ではありません。
漫然なリハビリは自らの首を絞める
症状緩和のためいわゆる理学療法として行うマッサージ、歩行練習と称した散歩を漫然と行なっているとAIに市場を奪われる原因になります。
AIは前述した通り、創造的作業を伴っていたり複雑な課題が必要とされる作業を必要とするものは苦手としますが、単調な作業は最も得意としています。
中医協からも指摘され続ける漫然としたリハビリを続けることはAIによる自動化を早め、自らの首を絞めることと同意です。
日々のリハビリから解決すべき課題の把握(アセスメント)を適切に行い、改善に係る目標を設定し、必要な期間を定めてリハビリテーションの提供を行うことが重要となってきます。
まとめ
タスクの種類が少なくワークの必要性がない業務であればAIに完全置換することが可能です。
理学療法士・作業療法士が完全にAIに仕事を奪われることはありませんが、一部自動化は十分に可能性があります。
そんな時、需要と供給のバランスが更に崩壊し自分の仕事が奪われないようにスキルを磨いておきましょう。
コメント