こんにちわ(‘ω’)ノゆとりPTです。
医療従事者のメンタルヘルスが原因で仕事を休職・退職することが多いことが知られています。
業務の過酷さや人間関係等に強いストレスを感じる人が多いのです。
もし急な休職や退職を行なっても収入が途絶え、生活は厳しくなります。
仕事上でうつ病を発症してしまい、休職することになった場合は、働けない間の収入を確保するためにも、労災申請しましょう。
しかし、うつ病の労災認定を得るのは簡単なことではありません。
今回は、うつ病などの精神疾患に陥った際に労災認定を勝ち取る方法を解説します。
うつ病などのメンタルヘルスに陥った際に労災認定を勝ち取る方法
うつ病による労災認定の実際
現実問題はうつ病などの精神疾患について労災認定を受けるのはかなり難しいと言われています。
精神障害の労災認定がなぜ難しいかというと、必ずしも発症原因が仕事であることが立証することが困難であるからです。
近年、うつ病など精神疾患での労災申請件数は増加傾向にあるものの、支給決定件数の割合は横ばいです。
しかし、医療従事者だけに至っては労災認定に難易度が下がります。
申請数に対して、医療福祉業種のみ圧倒的に支給決定が多いのです。
労働災害と認定されると?
うつ病が労災認定される3つの要件
うつ病が労働災害と認定されるかどうかは、労働基準監督署による調査・審査に基づいて判断されています。
その際、労働基準監督署は、厚生労働省が通達により定める一定の認定基準に基づいて、労災かどうかを判断しています。具体的には以下のとおりです。
【労災認定のための3つの条件】
- 認定基準の対象となる精神障害を発病していること
- 認定基準の対象となる精神障害の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること
- 業務以外の心理的負荷や個体側要因により発病したとは認められないこと
それぞれについて確認していきましょう。
①認定基準の対象となる精神障害を発病していること
精神障害のすべてが認定基準の対象となるわけではなく、例えば、認知症やアルコール、薬物による障害は認定基準の対象から除かれます。
なお、うつ病は認定基準の対象となる精神障害です。
②発病前概ね6か月の間に業務による強い心理的負荷が認められること
うつ病が労災と認められるためには、強いストレスを与えるような出来事が、発症前の約6ヶ月間にあることが重要です。
『特別な出来事』に該当する場合とは?
特別な出来事とは、「心理的負荷が極度のもの」と「極度の長時間労働」が挙げられています。
具体的には以下のとおりですが、これに該当する場合はストレスの総合評価は「強」に当たるものとして、基本的に労働災害と認められます。
【心理的負荷が極度のもの】
- 生死にかかわる、極度の苦痛を伴う、又は永久労働不能となる後遺障害を残す業務上の病気やケガをした
- 業務に関連して、他人を死亡または生死にかかわる重大なケガを負わせた(故意は除く)
- 強姦や、本人の意思を抑圧して行われたわいせつ行為などのセクハラを受けた
- その他、上記に準ずる程度の心理的負荷が極度と認められるもの
『極度の長時間労働』とは?
③仕事以外にうつ病発症の原因がないこと
仕事以外にうつ病発症の原因がないことも、一応、労災認定の要件に含まれます。
例えば、うつ病発症以前に「家族や友人を亡くした」「離婚した」など、強いストレスを受けるような出来事がなく、精神疾患の既往歴やアルコール依存の症状がない場合などです。
パワハラ・セクハラによるうつ病も労災認定は可能か?
職場でのパワハラやセクハラの被害者となり、当該被害が原因でうつ病を発症したものと認められれば、労災となります。
しかし、パワハラやセクハラは立証が困難な事例の一つです。
労災認定のポイントは客観的な証拠
労働基準監督署がうつ病について労働災害に該当するかどうかを判定するには、
これが業務に起因すること(具体的には、厚労省の通達に列挙された特別な出来事又は具体的な出来事が存在すること)を示す、客観的証拠が重要となります。
なお、このような裏付け資料としては、以下のようなものが挙げられます。
- タイムカード、勤怠表、PCのログイン・ログオフ履歴など労働時間に関する記録
- パワハラ・セクハラ発言の録音など具体的出来事を証明する客観的記録
- 上司・同僚による供述書 など
うつ病で労災申請をするため4つの手順と流れ
②申請書を労働基準監督署に提出する
③労働基準監督署による調査
④労働基準監督署から通知書が届く
うつ病が労災認定されなくても救済措置がある
①傷病手当金
具体的には、うつ病により就労困難な状態に陥った場合、健康保険に基づく傷病手当金の支給を請求することが可能です。
健康保険の傷病手当金は、業務外の傷病により就労困難な場合に支給される補償金であり、給与の2/3程度を最長で1年6ヶ月間受給することができます。
労災補償と異なり、公的機関により業務災害と認定される必要がないことから、労災補償より格段に申請のハードルは低いです。
なお、発症当初は健康保険の傷病手当金の支給を受けつつ労災申請を行い、労働災害と認定された場合に労災補償に切り替え、傷病手当金を返金するという対応も可能です。
詳しくはこちらの記事も参考にどうぞ
➁失業保険の受給期間延長
うつ病状態で会社を退職した場合、お住いのハローワークへ「受給期間延長」の手続きをしましょう。
退職してから最長4年間、失業手当などを受ける権利を延長できます。
派遣会社に登録をしただけで「労務不能」ではないと、健康保険から傷病手当金の継続給付を止められたケースもあるそうなので、うつ病で通院中は求職活動は行わない方が無難です。
➂障害厚生年金
年金と聞くと高齢者だけと思いがちですが、国民年金または厚生年金に加入している20歳~60歳の方は要件を満たせば受給可能です。
うつ病が長引く場合は、うつ病等に関して原則最初に病院に行った(初診日)のが、会社員(厚生年金)時代だったなら、初診日から1年6か月経過日にも、退職後でもうつ病なら障害厚生年金を請求できます。
もっと軽いうつ病なら初診日から5年以内で障害手当金を請求できます。
まとめ
医療従事者がメンタルヘルスに陥り、休職・退職することは少なくありません。
どのような手段があるのか?は理解し、必要な場面で役立てましょう。
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