2月の国家試験を合格し、3月上旬の卒業式を終え4月1日から入職・入社を控えている医療系学生は多く3月後半はゆっくりできると考えているはずです。
しかし、一部の医療機関では3月末から既に研修がスケジュールに組み込まれている場合があります。
そして『内定者研修』『入職前研修』『新人研修』と銘打ち、新社会人をタダ働きさせている実態があります。
今回は、タダ働きの『新人研修』『入職前研修』の違法性を解説します。
タダ働きの『新人研修』『入職前研修』の違法性を解説
『新人研修』『入社前研修』とは?
内定を出した学生(内定者)に対して、入社日(入職日)よりも前に研修へ参加することを義務付けている企業や医療機関があります。
多くの場合、「新入社員研修」「入職前研修」「新人研修」などと呼ばれます。
入職日(入社日)より前のため、内定者はまだ学生となります。
入社前のオリエンテーションを行なったり、入社後の仕事内容等を研修します。
問題は、この新人研修が『無給』で行われていることです。
新人研修に違法性がある部分は?
①強制参加は違法性が高い
内定者は、勤務予定先から内定通知が出されているため、「始期付解約留保権付雇用契約」が既に結ばれている状態です。
しかし、労働契約を結んでいるといっても就労はスタートしていません。
そのため、内定者本人の自由意志が尊重されます。
本来であれば研修時間分の給与を支払ったとしても入社前の「新人研修」等への強制参加は違法性が高い可能性があります。
違法性②不参加の場合のペナルティは違法
入社前研修が任意であるとはいえ、今後入社する勤務先にマイナスな印象を与えたくはないはずです。
更に、新人研修を欠席することで入社後に不利益を被るのではないか?と考える人は多いはずです。
しかし、研修への出欠を理由として不利益な取扱をすることも妥当ではありません。
以下のような行為は、違法無効とされる可能性が高いと考えられます。
違法性③研修時間当たりの賃金は発生する
もし、それでも入社前に研修を行なうのであれば、強制参加とする以上使用者の指揮命令下に置かれてしまいます。
その場合は労働時間に応じた賃金が発生することになります。
しかし、ここで注意しなければならないのは「賃金」や「研修に必要な実費」は勤務先側から支払われますが、『交通費』を支払うかどうかは勤務先次第となります。
本来であれば、交通費は企業負担が一般的です。
しかし、交通費については、法律上支給を義務付ける定めはなく、社員であっても支払い義務はありません。
勤務先は「通勤交通費なし」としても良いことになっています。
もし入社前にタダ働きで新人研修に参加させられたら?
新入社員として勤務している状態ではとても『未払い賃金を支払ってください』とは言えません。
そのため、3年以内にもし退職や転職する場合は、これまでの未払い賃金・残業代と合わせて全部請求できるように資料や記録を残しましょう。
まとめ
入社前の研修を課している医療機関は意外に多いです。
しかし、実際には強制力はなく不参加でも問題ないですが、参加する場合は労働時間とみなされ賃金が発生します。
新入社員(内定者)という弱い立場でも、知識武装をすることで社会に搾取されないようにしましょう。
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