こんにちわ(‘ω’)ノゆとりPTです。
先日のニュースで医療業界に衝撃が走りました。

これらを見た医療従事者の中には、患者からの暴力やわいせつ行為は耐えるしかないのに
患者から訴えられると有罪か!という声が多く挙げられました。
院内で受けた暴力行為や猥褻行為はどんどん司法に訴えていこう。泣き寝入りはもうやめよう。闘うしかない。
— 眠れる森の熊 (@k___metabo) July 13, 2020
ここで疑問点があります。
暴力行為の多くは認知症患者によるものが多く、これらを法律で裁くことができるのか?
ということです。
今回は、過去の判例などを参考に認知症患者の暴力行為を訴えることができるのか考察します。
高齢者の犯罪は社会的問題
高齢化率27%超え、超高齢社会に突入しています。
平成27年の高齢者の傷害や暴行検挙数は20年前の約20倍に増加しています。
しかし認知症の高齢者の場合、
責任能力の有無も問題になってくるために、被害者は泣き寝入りせざるをえないという状況になってきてしまいます。
認知症患者が犯罪を起こした場合、民事責任は果たして認められるのでしょうか?
責任能力の有無が重要
認知症患者を民事上の賠償責任に問うことが出来るかどうかは責任能力の有無で変わります。
民法では、次のように定められています。
つまり、
民法では、責任能力を持たない場合には賠償責任を負わないとしています。
しかし、責任無能力者の代わりに、監督義務者が責任を負うとしています。
ただし監督義務を怠っていないと判断された場合には、責任は免れます。
入院中の監督義務者は誰になるのか?
では、入院中の認知症患者の監督義務者は家族になるのでしょうか?病院側になるのでしょうか?
結論として
入院中や施設入所中の監督義務は病院側や施設側にあるという事です。
ここで2007(平成19)年12月7日、東海道本線共和駅近くで、認知症患者Aさん(91歳 要介護4、認知症高齢者自立度Ⅳ)が線路に立入り走行してきた列車にはねられて死亡した事故の判例を基に考察します。

JR東海側が損害賠償を請求する訴訟を提起して民事事件になりました。
最高裁の判例で
「法定の監督義務者と同視できる者」は賠償義務を負う可能性が示されました。
つまり最高裁は、
「公平の観点から認知症患者の行為に対する責任を問うのが相当といえる状況にある」という基準を示しました。
病院側と介護事業者側の監督義務
上記の判例を基に考察すると
認知症患者の加害行為を十分に抑止できる状況にあれば、責任を負わなければならないという判決が出たことで、その状況にあれば誰でも監督義務者になる可能性があります。
入院中もしくは施設入所中の認知症患者が暴力を振るった場合、
客観的に見て、病院側・介護事業者側が認知症患者の加害行為を十分に抑止できる状況にあると判断された場合には、賠償責任を負う可能性がでてきます。
逆にサービス提供者側にも安全配慮義務があります。
仮に患者に怪我があった場合には、安全配慮義務違反として逆に家族側に賠償責任を問われる可能性もあります。
医療従事者への暴言・暴力
認知症患者による暴力で怪我を負った場合、
利用者に責任能力があれば刑事責任や民事責任を問うことができます。
認知症などで責任無能力者と判断された場合でも、労災の適用を受けることができます。
しかし悪質な病院の場合、労災申請を認めないことがあります。
労災隠しに遭わないために、必ず労働基準監督署へ相談しましょう。
まとめ
病院や施設側が患者を訴えた判例がなく、
実際にはケースバイケースであることには間違いありません。
病院側や介護施設側は監督義務者のリスクを背負いながら
医療・介護を行わなければならないのです。(‘ω’)ノ
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