こんにちわ(‘ω’)ノゆとりPTです。
先日、Twitterにて患者を転倒させたことで、病院側から訴えられる可能性があるという内容を見つけました。
本当に医療従事者本人に対してそのようなことがあり得るのでしょうか?
そんな疑問を解決するべく、過去の判例や医療訴訟ケースを探りながら解説します。
医療従事者である個人が訴えられる時代【職業リスクを考える】
医療従事者本人が訴えられるケースが増えている
例えば、病院で医療事故などが起こった場合、
病院や医師、看護師、その他の医療職は、安全な医療を提供していないことに対して、
民事上の法的責任として債務不履行責任、不法行為責任を問われます。
「大きなミスがあっても結局は雇用主の病院側の責任になるはずでは?」と思った方も多いでしょう。
確かに債務不履行責任は、通常、被害者との直接の契約者である病院が責任を負います。
ところが、不法行為責任は、契約の有無に関係なく、
まず医師、看護師、その他の医療職などの個人が「行為者本人の責任」を問われます。
次いで、病院(開設者)、院長、看護部長などが「使用者責任」を問われ得るのです。
医療従事者個人が訴えられた医療訴訟
ケース1:救急搬送された患者が死亡した事案に対し、看護師個人も訴えられた
ケース2:臨床検査技師が患者さんに対し負う責任 民法709条(不法行為責任)
ケース3:雇用主に対し負う責任 民法715条3項(使用者の求償権)
今回のTwitterの方は3番に該当します。
このように病院だけでなく、個人の責任を問われる時代になっていることを知る必要があります。
場合によっては、刑事責任や行政責任を問われ、免許を取り消しされたり、一定期間医療従事者として医療に携わることを停止される可能性もあります。
セラピストの医療訴訟事例を紹介
ケース1:歩行練習中の転倒で急性硬膜下血腫で死亡した事例
ケース2:リハビリ終了後、ベッド柵に首が挟まり死亡した事例
近年は特に医療従事者への責任が集中している
近時の裁判例においても、
と判示し、医師とは別個に看護師の過失が認定される可能性が示唆されております。
(京都地裁平成17年7月12日判決参照)
これをセラピストに当てはめると、
リハビリ実施により当該患者に医療事故が生じた場合、説明が不十分であることを知りながら漫然と検査等を実施したセラピストにも説明義務違反が認められるとして、責任を問われる可能性も否定できないという事です。
自己防衛手段
カルテ記載の徹底する
カルテ記載はもしもの時に自分を守るためにも詳細に記載しましょう。
SOAPで書くのはもちろん、所見を客観的指標で書くことを心がけましょう。
医療従事者用の個人賠償責任保険に加入する
日本理学療法士協会に加入している方は強制的に一部加入しています。
しかし、保証内容は1事故300万円までのみ。
それ以上の上乗せプランは年3,470円が年会費とは別で掛かります。
1事故300万円は、過去の医療訴訟の損害賠償額と比較しても全く足りません。
しかし、現在では協会に加入せずとも民間の保険会社の医療従事者の個人賠償責任保険があります。
2020年度版 Willnext「医療専門職向け賠償責任保険」
リハビリテーションガイドラインの徹底
標準治療を記したと考えられているガイドラインは重要です。
実際、ガイドラインを不遵守の場合、裁判で過失として認められる割合が高くなっています。
(参照:ガイドラインを不遵守の医療訴訟事例)
つまりガイドラインに載っていない治療をおこなったとき、その理由を具体的かつ客観的に説明する必要があるということです。
まとめ
医療従事者はかなりのリスクを背負って仕事をしていることがわかります。
自分を守るためにも患者さんのためにも知識・技術を学び、正しく行動していきましょう。
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