令和6年度同時改定に向けての理学療法士の働き方②

医療従事者【働き方】

 

 

次回の令和6年度の診療報酬・介護報酬の同時改定で改悪される可能性の高い項目については前回の記事で解説しました。

 

次に、我々リハビリ職の働き方はどのように変わっていくのか考えていきましょう。

 

 

 

 

 

令和6年度同時改定に向けての理学療法士の働き方②

 

 

 

回復期リハビリ病棟・疾患別リハビリ料が包括化されたら?

 

 

 

1単位20分の制約がなくなり、疾患別リハビリテーション料の出来高制がなくなった場合、大きく2つが起こります。

 

 

・リハビリ職の余剰定員が出てくる
・収益減による新たな収入確保を模索

 

 

 

まず、日本の解雇規制は厳しく、簡単にはリストラされることはありません。

 

 

労働契約法16条により、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない解雇は無効とされてしまいます。

 

 

前回の記事でも解説した通り、リハビリ部門の収益減少に伴う給与減給は多いにあり得ますが、解雇は考えにくいでしょう。

 

 

では、リハビリ職達はどうなっていくのでしょうか?

 

 

 

①系列医療機関・施設への振り分け

 

 

 

 

 

 

回復期リハビリテーション病棟・疾患別リハビリが包括化された場合、今までのような大量のリハビリ職は必要がなくなり、一定数で足りてしまうことが考えられます。

 

 

そのような場合、人材が不足している系列の医療機関や施設へ異動・配置転換が命じられる可能性があります。

 

 

複数の系列医療機関や施設・事業所を有する法人であれば近隣の勤務先に配置転換されるでしょう。

 

しかし、隣の市やもしくは県境を跨ぐことになるとすれば生活スタイルを改めなければならないかもしれません。

 

 

異動や配置転換を命じる権利がある旨を就業規則等で定めている場合、従業員はこれに従う義務があり、原則として拒否することはできません

 

 

人事異動命令に対する拒否は、組織の秩序を乱す重大な問題であり、懲戒事由になることが原則です。

 

ただ、労働者に著しい不利益があるといえる場合

 

例えば、異動により子育てや病気の家族の介護ができなくなる場合、本人の健康状態から遠隔地への異動をすべきではない場合などは拒否が認められる傾向にあります。

 

しかし、「保育園の送り迎えに支障が出る場合」などの事情は、裁判例上、「著しい不利益」とは認められない事案が多くあります。

 

 

過去にリハビリテーション病院が新型コロナウイルス感染症を専門に受け入れる病院へ転換した際も、

 

多くのリハビリ職は異動・配置転換を余儀なくされました。

 

 

 

②医療機関等からの訪問リハビリテーションが多くなる

 

 

 

 

 

 

回復期リハビリテーション病棟が包括化された場合、

 

リハビリ職の余剰人員は新たに増員が必要な訪問リハビリテーションの部署に配置転換が進むことが考えられます。

 

 

入院中のリハビリでは採算が取れない➡出来高の訪問リハビリで収益増を狙う形

 

 

更に、厚労省の見解では訪問リハビリテーションは医師の指示がある状態で医療機関から行なうことが望ましいとしており、

 

訪問リハビリテーションは訪問看護ステーションからではなく医療機関からという考え方が主流です。

 

訪問看護の役割はあくまで「疾病、負傷で継続して療養する状態にある高齢者らに対し、療養上の世話、または必要な診療の補助を行うもの」厚生労働省は見解を示しており、

 

 

・療養上の世話・必要な診療の補助(処置等)➡訪問看護ステーション
・訪問リハビリテーション➡医療機関や診療所

 

 

この二極化が今後進んでいくことが考えられます。

 

 

 

③自費リハが多くなる

 

 

 

 

 

 

病院や診療所などの医療機関が訪問リハビリを開始すると同時に自費リハビリを行なう医療機関が今後増えてくるはずです。

 

回復期リハビリテーション病棟のリハビリテーション料による収益減を補う方法の一つとなります。

 

 

日本医師会総合政策研究機構の報告書では、「理学療法士、作業療法士として名乗って、障害のある者に対する施術を独立開業して行うことは認められていない」ことを改めて示され、

 

日本理学療法士協会からの提言でも、『医師の指示のない状態で理学療法士という名称を使用し理学療法・作業療法を行なうこと自体が違法である』とされています。

 

 

そこで、医療機関から医師の指示を受け自費リハビリを提供することでこれらの法的な問題と、責任の所在を明確にすることができるのです。

 

 

将来的に、医療機関が自費リハビリを行なう割合が増えてくるはずです。

 

訴訟問題などもあり、医師の指示が更に重要となっており、医療機関ではこれが安易に可能となります。

 

 

 

 

 

 

④療法士の介護職化が進む

 

 

 

 

 

もし、今後リハビリテーション料や回復期リハビリテーション病棟が包括化されるとリハビリ職が配置転換され介護職化が更に進むことが考えられます。

 

 

理学療法士は2040年頃にはセラピストの供給数が需要数の約1.5倍になることが示されています。

完全に供給過剰に陥っています。

 

一方で、介護職員は、厚生労働省は2025 年に向けた介護人材にかかる需給推計(確定値)について の中で、

 

2025年には介護人材が約253万人必要になることに対して、供給の見込みは約215万人であり、およそ38万人の介護職員が不足する見込みと示しています。

 

病棟や施設では常に介護職員の不足が見られます。

 

既に配食・食事介助・トイレ介助・入浴介助・体重測定・デイのレクレーション・送迎などリハビリ職が担っている医療機関や施設が存在します。

 

 

療法士達が、リハビリ室ではなく病棟に常駐する時代がすぐそこまで来ているかもしれませんね。

 

 

 

 

 

 

 

 

訪問看護ステーションに看護師人員基準6:4が導入されたらどうなる?

 

 

 

訪問看護ステーション➡医療法人化が進む

 

 

 

 

 

訪問看護ステーションの看護師等と理学療法士等の比率が6:4の人員配置基準が始まった場合、

 

リハビリ職の配置割合が高い訪問看護ステーションを持つ事業所は、PTなどの雇用の受け皿を別に確保しなければなりません。

 

その方法は大きく分けて3つしかありません。

 

・看護師の数を増やす
・リハビリ職の数を減らす
・リハビリ職を配置転換する

 

 

看護師の数を増やすことはご存じの通り至難の業です。

 

では、リハビリ職の数を減らそうと考えると全国で5,000名近くのセラピストの職が失われてしまいます。

 

 

そこで方策の1つとしてグループ法人の医療法人を設立し、リハビリ職を配置転換する方法を執る事業所が生き残ると考えられます。

 

勤務するリハビリ職を医療法人に移籍させ、訪問看護ステーションのリハビリ職の配置を一定割合以内に抑えます。

 

 

これにより、介護保険サービスの訪問看護は訪問看護ステーションが担い、訪問リハビリは医療法人の訪問リハビリ事業所が行うように機能を分担するのです。

 

 

リハ職の割合が職員の6割を超えている事業所は、2017年度の時点で訪問看護全体の4.7%だと報告されています。

 

人員基準をクリアできない事業所は廃業を余儀なくされてしまうでしょう。

 

 

 

 

 

令和6年度以降はどこで働けばリハビリ職は生き残れる?

 

 

 

 

 

では結局どこで働けば今後の最悪の場合の診療報酬・介護報酬改定にも怯えることなく生き残ることができるのでしょうか?

 

 

まとめると、

 

回復期リハビリテーション病棟勤務は避けた方が無難です。

 

転職するならば、医療法人の中でも系列医療機関に急性期病棟や施設、訪問リハビリテーション、自費リハビリを行なっている大規模な医療法人の方が良いでしょう。

 

クリニックや診療所に勤務する場合は、同様に訪問リハビリテーション部門と自費リハビリを行なっているかを確認しましょう。

 

訪問看護ステーションならば、看護師と療法士の割合をチェックしリハビリ職が多すぎないか

 

 

また今後の人員基準引き締めに対してどのように考えているのか?グループ内に医療法人を持っているのか?を確認しておきましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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